23 四人のイケメン王子

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「おれは、ずっと前からおまえのことが……」  湊斗くんの言葉をさえぎったのは、賢ちゃんだった。 「スト―ップ! その先は、ぼくがいなくなってから頼むよ。せっかちだな、きみは」  賢ちゃんが苦笑いすると、湊斗くんはあわてて頭を下げて、 「す、すみません、三上さん!」  と、あやまった。 「じゃあな、つむぎ。ぼくは行くよ」 「えっ……賢ちゃん……?」  ぽけーっとしているわたしを置いて、賢ちゃんは行ってしまった。 「み、湊斗くん。どうして……?」  たずねるわたしに、はにかむような笑顔を見せる湊斗くん。 「学校で三上さんから、大体、話はきいたよ。つむぎがダンスを観にきてくれなかったからヘコんでたけど、それどころじゃなくなっちまったな」 「じゃあ……?」 「魅了の魔眼……だっけ? よくわかんねぇけど、そんなの、おれには通用しねーよ」 「湊斗くん……」 「おれは一年のときから、つむぎのことを見てたからな。暗示にかけられるまでもなく、おれはつむぎに惚れてたんだよ」 「一年のときから!?」  わたしは、思わずさけんでしまった。 「なんだよ、べつにいいだろ」  暗いから、あまりよく見えないけれど。  口をとがらせる湊斗くんの顔は、きっと真っ赤だと思う。  そして、わたしの顔も……。 「よかったぁ。わたし、湊斗くんを暗示にかけてなかった……」  ほっとして、わたしはしゃがみこんだ。 「ホントによかった……」  ぽろぽろと涙が流れてくる。 「泣き虫だなぁ、つむぎは……」  湊斗くんもしゃがみこんで、わたしの頭をなでた。 「泣きやむまで、また抱きしめるぞ?」 「ええっ!」 「じゃあ、これは……?」  湊斗くんは、涙でぬれたわたしの頬に、やさしくキスした。 「え……? え……?」  目をぱちくりさせるわたしに、湊斗くんがニッとして、 「涙とまった? もう一回しようか?」  って言った。  もう涙はとまったけど、今のは荒療治(あらりょうじ)すぎるってば!  胸がキュンキュンして、どうにかなりそう。  ピロリン♪  湊斗くんのスマホの通知音が鳴った。  メッセージを確認すると、湊斗くんがくやしそうに言う。 「ちぇっ。おれのアピールタイムは終了だ。隣の公園で、ほかのイケメン王子どもが待ってる。行こうぜ」 「えっ、ほかのイケメン王子って……」 「葵と神谷兄弟だよ」 「ええっ!?」  いくらなんでも、あの三人まで、以前からわたしが好きだったなんてことは……。 「行けばわかるさ」  湊斗くんは、イタズラっぽい笑みを浮かべた。
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