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◆
隣の児童公園に行くと、小さな子どもたちにまじって、葵くんと神谷兄弟が鬼ごっこをしていた。
ど、どういう状況なの――――っ!?
わたしたちに気づいた葵くんが、真っ先に駆けよってきた。
「やあ、吉丸さん」
「葵くん、どうして……?」
目を丸くするわたしに、葵くんが言う。
「姉ちゃんを経由して、三上さんに頼まれたんだ。四人のイケメン王子を招集するようにって……。文化祭の実行委員のおれが、校内放送で、ほかの三人をよびだしたってワケ。魔眼について、三上さんからきいたよ」
すると、怜音くんと紫音センパイもやってきた。
「あのガキども、元気よすぎだろ……。は、走りすぎた……」
「ぼ、ぼくも……つ、疲れたよ……」
息を切らしている神谷兄弟を見て、フンと鼻を鳴らす湊斗くん。
「おまえら兄弟は体力なさすぎなんじゃね?」
「岸テメェ、おれのことも『おまえ』よばわりか? センパイだぞ、コラ」
紫音センパイが威圧するような声を出すと、湊斗くんはにらみ返して、
「つむぎに恋してるライバル同士なんだからな。上下関係なんか持ちだすなよ」
って言いはなった。
「兄さんの負けだね」
怜音くんが言うと、葵くんが苦笑いして、
「まあまあ、その辺で。吉丸さんがキツネにつままれたような顔してるよ。種明かしをしようか」
と、左手をかかげた。
手首にはミサンガが巻かれている。
「これ、姉ちゃんにもらったんだ。長閑中央駅の商店街にある魔法グッズの店で買った魔除けなんだって」
「えっ! それって、魔法雑貨店ウィッチ堂!?」
びっくりしてわたしがたずねると、葵くんはうなずいた。
そういえば、遙さんはオカルト好きだった!
「おれも、同じ店で買ったよ」
紫音センパイが、右手の薬指のシルバーリングを見せながら言った。
「バンドマンの間で、あの店は話題になってたからな。イケてるアクセサリーがあるって……」
「兄さんが、『ふたつ買ったから』って、ぼくにくれたんです。魔除けとは知らなかったですけど……」
怜音くんも、うれしそうにシルバーリングを見せた。
「――つまり、おれたち三人は、白魔女の魔除けを身につけていたことになるね。だから、吉丸さんの魅了の魔眼は、おれたちには通用しなかった……」
葵くんが説明すると、神谷兄弟がうなずいた。
そうか!
ミサンガとシルバーリングを目にしたとき、心がフワフワする感覚があった。
あれは、魔眼の力がはね返されたからなんだ!
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