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目的地に到着し、奏音が一目散に走り出す。俺が一歩も動けずにいると、不思議そうに振り返った。
「だいじょうぶ? 元気たりない?」
奏音は心配げに首を傾げた。元気がないのは自分だろうに。絵莉子に会いたいと言うと、俺を困らせると思ったのだろう。だから今日くらいはせめて、奏音を楽しませてあげたかった。
「ありがとな。大丈夫だよ」
俺は奏音の手を取り、入り口へと歩き出した。店内から漏れ出る陽気な音楽。心臓が早鐘を打ち、汗が滴り落ちる。
怪物が口を開けるように、自動ドアが開く。足を踏み入れると、そこには果てしない水平線が広がっていた。
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