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『おうちで作れるプラネタリウム』なるものがあることを知った俺たちは、早速準備に取り掛かった。幸い必要な道具は揃っている。
奏音がアルミホイルに穴をあけている間、俺は段ボール箱の底をカッターナイフで四角に切り抜いた。奏音の横顔は真剣そのもので、俺は密かに彼を星空職人と名付けることにした。
段ボール箱を裏返し、穴の反対側にアルミホイルをテープで固定する。ライトをつけたスマートフォンの上に段ボール箱を置いた。
「電気消すか?」
「ぼくがやる!」
「はいよ」
電気が消えると、天井に映し出されたのは満天の星だった。そばかすのように小さいものから尾を引いた流れ星、土星のように環を持ったものまである。自由で力強く、眩い光。
「さすが星空職人だな」
「まあね」
暗闇のなか、奏音はしたり顔をした。
それから俺たちは家にあった適当な芳香剤を開封し、動画サイトでそれっぽい癒し音楽を流しながら床に寝そべった。
「あの星はぼくとママなんだ」
「ああ、よく出来てる」
「あのわっかがついてるのはおじさん」
じんわりと体が熱を帯びる。子どもの体温は高いらしい。
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