ショッピングモール

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 四日目の夜、奏音が一人で眠れないと言い出したので、俺たちはベッドに並んで寝転がった。奏音はしきりに寝返りを打っている。 「どうした?」 「ううん」 「……お母さんに会いたいか?」  奏音は答えず、俺の腕にしがみついた。生温い水滴で寝巻きが肌に張りつく。背中を叩くと、やがて穏やかな寝息が聞こえてきた。  翌朝、ポストを確認すると、広告に紛れて一際カラフルなチラシが目に入った。奏音の好きな戦隊ヒーローショーが開催されるという知らせだ。開演は今日の昼過ぎ。急いで車を出せば間に合うだろう。 「おい」  寝室に戻り奏音を揺さぶると、目を擦りながら文句にも聞こえる寝言を言った。 「起きられるか? ヒーローショーを観に行こう」 「ヒーローしょお!?」  奏音は跳ね起き、目を輝かせた。腕をぐるぐる回し妙なダンスをする奴をなんとか着替えさせ、車に乗せる。エンジンをかけると、奏音は「ヒューヒュー」とからかいながら俺を肘で突いた。  場所はどこだったろうか。チラシを取り出しナビに住所を入力しようとしたところで、俺は固まった。冷や汗が背中をつたう。行き先はショッピングモールだった。 「いかないの?」  奏音が足をばたつかせながらこちらを見る。俺はハンドルを握り、アクセルを踏み込んだ。
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