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「こんなにうねって、締め付けて、いやらしい先輩、大好き!」
膨れ上がった大波のような疼きは限界を超え、私をどんぶらこと遠くへ運ぶ。私は浮遊しながら意識を手放した。
「もう一回いけますか?」
律が銀色のパックを口に咥えたまま訊いた。
私は力無く首を振る。
「ちぇー……」
ちぇ、じゃねぇよ。立て続けに3回もヤッておきながら何を言う。
しかも、毎回ねちこく身体を愛撫し舐め回すものだから、疲労困憊だ。もう腕も上がらないし、喉もカラカラである。
「さーせん、さすがにやり過ぎっすね。先輩、冷蔵庫に飲み物あるっすか? 取ってきます」
コクコクと頷けば、律はベッドから降りた。マッパのひょろ長い後ろ姿を眺めながら、意外に筋肉質なんだな、細長マッチョか……などと思う。
やがて、500mlサイズのペットボトルを手にした律が、蓋をひねりながら戻ってきた。身を起こそうとする私の背中を支え、先に自らが口をつける。そして、そのまま私の口を塞いだ。
面食らうも、注ぎ込まれる冷たい水は喉と口内を潤していく。私はコクリと喉を鳴らした。
唇を離した律は、口の端から溢れて顎を伝った水を、ペロンと舐め取る。
糸目が満足そうに弧を描いた。
「可愛いなぁ。早く俺なしじゃいられなくなればいいのに」
私は上唇を舐める長い舌先を凝視した。
もしや、先がふたつに裂けているんではないかと思ったからである。
飄々として無害そうな後輩は、実は狡猾なヘビ男だった。
些かの恐怖を感じながらも、私は密かに興奮する。
どうせなら、抗ってやろうか。
律がどんな風に私を追い詰めるのか見てみたい。
窒息しそうなほどの愛で締め付けられてみたい。
「まぁ、逃がしませんけどね」
無駄な足掻きをする子ネズミの思惑など、お見通しとばかりに、律は長い身体で私に絡みつく。
私は、呆気なくも囚われる。そして、その拘束にうっとりと身体を預けるのだった。
おしまい
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