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返事をする気力もない私の頬をするりとひと撫でし、律が手を離す。何やら足の間でゴソゴソとする気配を感じた。
おそらくゴムを装着しているのだろう。避妊をする気づかいはあるようだ。いや、というか準備してきたってとこが怖い。用意周到が過ぎる。
「安心してください。ここは常人サイズなんで。やや大きいくらいっすよ」
「……そんな心配はしてない」
もはや大きさなどどうでもいい。この昂りを早くなんとかしてほしい。
何度も押し寄せた快感に身体を火照らせ、欲望に囚われつつも、私は、少しワクワクしている自分にも気付いていた。
欲望とは無縁そうだと思っていた男が、実はねちこい肉食系だったなんて予想外もいいところだ。まだまだ私の知らない一面を隠していそうである。是非とも突き止めたい。
ハマれば抜け出せない迷路かもしれないが、脱出ゲームは大好きである。
そんな私の嗜好をも律が事前に把握していたというなら、脱帽するしかない。
「挿れますよ」
進入してきた塊に、快楽を欲し待ち構えていた膣が蠢き絡みつく。
「わ、先輩すげぇ、気持ちいい」
たっぷり濡れていた中に律の硬い陰茎がぐちぐちと音を立てて進入し、やがて奥まで到達した。
「先輩の奥まで嵌めちゃった」
目を覆っていた手が剥がされ、シーツの上に縫い付けられる。
瞼を上げれば、獰猛な表情で見下ろす律と目が合った。額には汗が滲み、大きめの口からは、はあはあと熱い息が吹き出されている。糸目の奥にきらりと光るのは、ほの昏く燃える炎。
するりと身体を滑る掌が胸を握りこみ、長い指が先端を摘まむ。
「……締まった。ふふ、濡れやすいし感じやすいし最高ですね、先輩」
「淫乱みたいに言わないで。……こんなになったのは初めてよ」
「それは先輩も俺を好きだからでしょ。前の彼氏のことはさほど好きじゃなかったんですよ」
律は物騒な笑みを浮かべると腰をグイと引き寄せた。さらに奥を突かれ、脳天まで痺れが駆け上がる。律は大きく腰を引き、再び中に突き入れた。そこから激しく腰を振り始めた。
「ほらほらっ、気持ちいいでしょ、こんなにっ、めちゃくちゃに、突かれてもっ、気持ちいいだけでしょっ」
「アッ、ヤッ、アッ、アッ」
上げた悲鳴は振動で途切れ、断続的になる。私は下腹部から急速に駆け上がってくる快感に怯え、震えた。
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