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「エイッ!エイッ!来れ天啓!!!」
片方の手を空に掲げ、もう片方の手の指2本で額を押さえる。
側から見たらそれは、無茶苦茶馬鹿みたいな光景だった。
僕は、こんなものを見るために金を払ったのか。
やっぱり、心が弱っている時に、こういう話は聞くべきじゃない。見事、乗ってしまった。
「来た!きたきたきた!」
バッと八幡が僕に向き直る。
嫌に芝居がかっていて、その動作だけなら、本当に何か来たのだと信じる人も出てきそうだ。
「三橋太郎、君には、今日運命の出会いがあるぞ!!」
「はぁ、」
「なんだい、その失礼な反応は、せめて金額分は反応しなさいな」
「そんなざっくり言われても、よく分からなくて。まぁ、それっぽくは聞こえるというか」
「えぇい、注文の多い子羊だな。仕方ない!天啓!もっと我に詳しく具体的に教えたまえ!」
ううーん、と八幡が唸る。
「来た、見えてきたぞ、其奴は....黒くて、でかい、そして...しぶとい」
「ゴキブリですか?」
「いや....しかし、これは..人間じゃないな.....やっぱりゴキブリかもしれない。」
「.....。」
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