6.

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6. 俺は幼い頃からいつも一人だった… 家族は会社員である父親とパートで働く母親、そして二つ上の兄がいた。 父親は厳格で真面目過ぎ、人としてのコミュニケーションが上手く取れず出世には縁が無くそれなりの給料であり家計を助けるため母親がパートをして補填していた。 そして、俺と兄に対する対応があきらかに違っていた。 兄は厳格である父親を見習い何事にも真剣に取り組み勉強が出来、成績は常にクラスでトップであった。 そんな両親は兄を溺愛していた… 「…「直(ただし、兄の名前)お前は一生懸命勉強して世の中の役立つ人になり私と母さんを養ってくれ…」 「お願いね「直」ちゃん、あなたは私の誇りなの…」 「ほら、唐揚げ好きだったろ…うんとお食べ…」 「え、母さんそれ俺の?」 「お前はそんなに食べる必要がないの!」 「お前は家族の恥なんだから…」 「…「貴」は私の血筋が無くこの家ではなぁ?」 「…」 俺は両親から受けた言葉の意味が良く分からなかった。 ただ俺はこの家族の一員では無いと肌で感じていた。 この時、俺は小学2年、兄は小学4年であり俺は勉強が出来なかったため兄と差別され厄介者として暮らしていた。 俺は幼かったがこの時の両親から受けた言葉が俺を支配し、人としての感情が薄れていた。 しかし、時は流れ兄が自殺したのであった。
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