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第5話 準備
辺りがすっかり暗くなっていたので、エアロとセルは近くの宿屋で泊まることになった。最初は俺の部屋がある城の中に行こうと思ったがセルにストレスを感じさせないようにというエアロの配慮と親切心によって今日は宿での休息となった。
期間は1ヶ月。食費込みなため、エアロの今の所持金内での計算によると1ヶ月しか保てなかったのだ。そのため、できるだけ早くセルを俺と同等のレベルにしておかなければならない。
「綺麗ですね。古民家で、120年もやっている老舗なのに。」
「流石だ、俺のチェックした宿は。」
王の成り上がりに欠かせない睡眠。これは、俺が今までやってきた行為の中で欠かせないものだと知った。俺の考えだとこの睡眠という行為は今後の人生に深くかかわるものだと思う。宿の宿泊金が高かれ安かれ、なくてはならない存在。いかに1日を安心して過ごすかが重要なのだ。
「さてと。セル、君は明日の正午に魔力検査と実技検査をすることになったが武器の方は何を使うかわかってるか?」
「えっと……わからないです。」
「だと思ったよ。まぁ仕方ない、外の世界を見てなかったからな。セル、ステータスを見ることはできるか?右手を突き出して『ステータス・オープン』と言ってみるんだ。」
エアロがステータスを出す仕草をすると、右手からゲームのウィンドウのような感じのステータスが出現した。
「よし、ステータス・オープン!」
セルがやると、エアロと同じ形のステータスが出現した。
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名前 :セル・ルミュール Lv.34
クラス:元奴隷&改造人間(獣人族ver)+新神の子
スキル:『速度変化』『防御効果』『アタック強化』
HP :365/365
MP :282/282
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エアロはセルのステータスを見た瞬間、困惑していた。いつものように目は見開き、手で口を覆っていた。
「まさか奴隷であった君にこんな才能があったとは。知らなかった。」
「どうしたんですか?なにか、やばいものでも書いてあったんです?」
いろいろな経験を積んできたエアロに驚かれるとはよほどすごいものなのだろう。
エアロの言葉にセルは目を光らせていた。
「セルよ。君に王になる可能性が25%→76%に増えた項目が1項目だけある。何かわかるか?」
「えっ、……何でしょうか。」
「セル、君のステータスに書かれているクラスという項目を1回声に出して読んでみてごらん。」
「クラス:元奴隷&改造人間(獣人族ver)+新神の子……」
「セル、この国の王になるためには主に3つのどれか1つ以上なければならない項目がある。なにかわかるか?」
「うーん、下剋上とか……ですかね。」
「この国の王になるために必要な3つのことを順になって教えていくぞ。
まず第1項目は、冒険者の依頼を全冒険者内で1番多く達成していること+10名の王からの依頼を基準より高く達成していること。これは、先ほど行った情報案内所の掲示板に1ヶ月に1回のペースで公開している。それの5年間のデータをもとに安定していたら王の即位となる。
第2項目は王の中で一番、目につけられたかだ。これは礼儀や戦闘方法、物事の知恵と知識によって判断させるんだ。
第3項目は、神のスキルを持っていること。これはステータスの中で国内で決められた神のスキルやクラスなどに入ったデータと基準の超えた戦闘力さえあれば大丈夫だ。」
「なるほど。それで僕は3項目内でどれに入るのですか?」
「第3項目だ。先ほど言ったクラスに『新神の子』は、唯一持つ人数が少ない希少なクラスなのだ。」
「つじつまが合いますね。」
「ああ。それに、このクラスは神に認められたものしかなれないんだ。だから神のスキルを持っている君は王になる可能性が25%から76%になったのだ。」
「えっ、そんなに上がるんですか?」
「ああ。俺もステータスに神に認められたものがあるぞ。見てみるか?」
エアロはステータスを開くと、セルに見せた。
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名前:キャラミア・エアロ Lv,999
クラス:元庶民、獣の王、神に選ばれし王、成り上がり
スキル:『獣化』『獣の王』『威厳』『獣召喚』『獣操作』
HP :564443/564443
MP :21795/21795
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「す、すごいです。」
「まぁな。これでも俺は元庶民だったんだぞ?それにお前と同じ神の子でもあるんだ。これくらいのステータスは普通さ。」
「でも、僕のステータスにはない『獣の王』がありますよ。」
「ああ、これは俺が王になった今の職業だ。まぁ俺はこの世界では獣人族ということになっているからな。」
「なるほど……。」
セルはエアロの言葉に納得していた。すると、エアロはセルにこんなことを言った。
「なぁ、明日に備えてセルの使う武器を決めないか?明日は魔力検査と実技テストがあるんだぞ?」
「そうですね。武器か~。」
「俺が決めていいか?一応、俺は王だぞ?」
「はい!お願いします!!」
セルは目をキラキラと輝かせながらエアロに頼んだ。エアロはそんなセルをほほえましく見ていたが、すぐに真剣な顔つきになり考え込んだ。そして数分後に口を開いた。
「よし決めたぞ!!明日に向けての武器はこれだ!」
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