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第8話 連れ戻しⅡ
***
セルとエアロが宿に戻ろうとしたとき、一人の男性が声をかけてきた。
「エアロ~。」
エアロは振り向くと大きく目を見開いた。
「キリト!!」
キリトと呼ばれた男は微笑みながら軽く手をあげたのだ。そしてエアロの近くまで歩いてきた。
キリトと呼ばれた男性はエアロと同じ金属系の黒い色の甲冑姿をしていた。群青色の短髪で、目から鼻の前までに切り傷があり、目つきが柔らかいのが特徴的だった。
「久しぶりだな~元気だったか?」
「まぁそれなりに……キリトは?」
「俺もぼちぼちかな……」
セルは2人に追いついてないことに気づき、少し離れて歩いていた。するとキリトはセルの存在に気づいたのだ。
「えっと……君は?」
「あぁこいつは俺の知り合いのセルだ」
「どうも初めまして!冒険者をしているセルと申します!」
「……へぇ~君が噂の神のクラスを持った子か……」
キリトはそう呟くと、何かを思い出したかのようにエアロは目を見開いたのだ。そしてキリトに質問したのだ。
「知っているのか?」
「ああ、もはや城内では羨ましがるほどでさ。聞いた話にはもう一度エアロを取り戻そうと必死さ。」
「……は?」
エアロは話を聞いたとたん、荒れた口調でキリトに聞き返した。
「おい、それはどういうことだ?」
「いや~、実はな……王が第6番の王をもう1度連れ戻そうと企んでいるみたいなんだ」
するとエアロはキリトの胸ぐらをつかみかかったのだ。そして怒りながらこう言ったのだ。
「ふざけるな!!王のものになるくらいなら死んだほうがマシだ!!」
「まぁ待て、そう怒るな。」
突然の図太い声にセルとエアロは驚き、声のしたほうに振り向いたのだ。するとそこにはもう1人男が立っていたのだ。その男は赤い甲冑を身に纏い、背中には大きな大剣を背負っていたのだ。
「あ……あなたは?」
「セルベール、俺を追い出した本人だ。」
エアロは狼の威嚇のように鋭い目つきでセルベールをにらみつけた。しかし、セルベールは動じることなく軽く頭を下げたのだ。
「まぁそう睨むな……俺はもう王の座に興味がないから安心しろ」
「……信用できるか……」
エアロはそう言いながらも警戒しながら距離を取ったのだ。するとキリトが口を開いたのだ。
「えっと……とりあえず場所を変えて話さないか?ここだと目立つし……
ね?セル君も思うでしょう?」
「ですね。エアロ様も一緒に行きましょう。」
こうして4人は場所を移動し始めたのだった。
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