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第9話 会議
3人は町外れにある小さな喫茶店に入り席に着いた。席に座るとエアロはセルベールに質問したのだ。
「…………それで、俺たちに何を言いたい?」
「ふふ……そうだな。単刀直入に言うが、お前たちに頼みがある」
「断る!」
エアロは即答で断ったのだ。するとキリトは焦るようにエアロに言った。
「まぁまぁ、少しは話を聞いてやろうぜ。」
キリトは苦笑いしながらエアロをなだめたのだ。
「…」
エアロはイライラしながらも黙り込んだ。
「では本題に入ろう。エアロよ。もう一度聞く。こちらに戻る気はあるか。」
「……反省の意を見せてくれたらな。俺はお前に追放されたことによって大きく人生が変わったからな。」
「…追放?」
セルは初めて聞いた言葉に驚愕していた。それを知ったキリトはセルの耳に口を近づけた。
「(今度教えてあげる。)」
「(お願いします。)」
セルは小声でそう答えたのだ。そしてキリトはエアロに質問した。
「でもよ、お前だって悪いんだぜ?自分の力に溺れて王や民を困らせていたんだからよ……」
「俺は困ってなんかいない!むしろあの王が俺を追放しなければ今頃俺はあんなトラウマはなかったはずだ!」
「……もう戻れないのか?」
キリトがそう聞くとエアロは少し黙り込んだのだ。しかしすぐに口を開いたのだ。
「……無理だな……俺はもうお前を許せない……」
「そうか。」
セルベールは深いため息をついた。するとキリトはセルのほうを見て言ったのだ。
「おい、ちょっと席を外してくれないか?」
「……え?あ……はい」
セルは言われるがままに喫茶店から出たのだった。そして数分後にキリトとエアロが出てきたのだ。
「話は終わったんですか?」
「まぁな……」
「!!」
セルは気づいた。エアロの目に透明な雫が出ていたことを。セルはこの時初めて、エアロの悔し顔を見たのだ。
「エアロさん……」
セルが心配そうに声をかけると、エアロは涙を拭き取りこう言ったのだ。
「大丈夫だ……俺はもう城に戻る気はないし、戻れない。」
「……そうか。……エアロ、今日は君の泊まっている宿について行ってもいいかい?」
「……好きにしてくれ。」
エアロはもはや諦めたかのようにそう答えた。するとキリトがセルのほうを見て言ったのだ。
「セル、今日はもう遅いから宿に泊まらないか?」
「あ……はい!」
こうして3人は宿屋に向かったのだった。
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