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 千歳と共に港屋へ向かう。  港屋の女将さんはいつものように迎えてくれたけど、中は忙しない様子だった。 「なんだか今日は忙しそうだね?」 「あんたの同胞が刀持ちに貰われていくからね。顔出してやりなよ」 「あー……、いいよ。おいらは、会わせる顔も無い」  それなら、菊田様がここに迎えに来るはずだ。  おいらは千歳の手を引いて、二階の部屋へと急ぐ。  敷きっぱなしの布団は、お天道様の光を浴びて、やや膨らんで見える。干した布団は寝心地が良いから、今日はとても寝心地が良さそう。 「十瀬」 「ん、口吸いしよっか」  向かい合わせに布団に座って、口吸いをする。舌を絡めて、吸って、口内を舐め合って……。とろけるように気持ち良いや。  着物の合わせを開いて主張を強めている胸の頂を摘まむ。 「んっ、ア……!」 「千歳。声我慢しなくて良いからね」  乳首を弄る度に千歳は甘い声を漏らす。口吸いしながら触ってあげたほうが良いのかも。体の何処に触れても千歳は甘く息を吐く。  その声においらの体も熱が上がる。体の中心に熱が集まって、もう木のようになっちまった。千歳の手を掴んで、おいらのまらに触れさせる。 「千歳。触って」 「は、い……っ」 「んっ、きもちい」  千歳はおいらの褌を取り去って、直接まらを扱いてくれている。おいらも 千歳の褌を剥がして、千歳のまらを扱く。互いに触り合うの気持ち良いや。  兜合わせするのも良いかもしれない。おいらは千歳の上に乗っかって、まらを擦り合わせる。 「ひっ、あ……! アッ! あ、と、せ……! あ、出……!」 「良いよ。出して。おいらも出ちゃう」 「あっ、あっ!」  とても気が悪くなってたんだと思う。いつもより早めに千歳は気をやった。おいらは更にまらを擦り合わせる。気をやったばかりで敏感になってるから、千歳は潮を噴いた。おいらも気をやる。腹に互いの精汁がまとわりつく。 「あ、あーっ、あ、見ないで、見ないで……!」 「大丈夫。気持ち良くなれて、千歳は偉いね」  千歳の頭を撫でて、口吸いをする。  ふと思いついて、千歳の首に手をかけた。そのまま手にゆっくりと力を込めていく。 「千歳。おいらが殺してあげるから、自分で死のうとしないでね」  ひゅっ、と音が鳴ったところで手を離す。  千歳は熱を帯びた瞳で頷く。  これで、千歳が自ら死のうとすることは、無くなる、と思う。今まですぐに「星になりたい」って虚ろな瞳でふらふらしていたけど……、自死だけは、避けられるはずだ。  なにもかも忘れさせてあげられたら良いけど、おいらにはできない。  夢夏の代わりになることは千歳に断られた。あきの姐さんのように千歳の子を産むこともできない。  おいらができるのは、ひとときだけでも、千歳が考え過ぎて悪い方向にいかないように、別のことを考えられるように気を逸らしてあげることだけだ。
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