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「とせっ、とせっ……!」 「あいあい。だいじょうぶ。おいら、ここにいるからね」  たまには変わった曲でもやってみようと思いついて、千歳に目隠しをしてみた。  体がぴったりくっついてる状態だってのに、千歳は寂しそうな声を出す。見えない状態ってのが怖いのかもしれない。だけど、目隠ししたばかりですぐ外すのもどうか……。  千歳には座ってもらっておいらは彼の後ろにいる。肩に顎を乗せて抱き締めてやってるけど、なんだか微かに震えてる気がする。  まらは木のようになったまんまだし、息も荒い。気が悪くなってるまんまなのはよくわかる。  千歳の胸の頂をきゅうぅと摘まみ上げると彼は「あっ」と甘い声をこぼす。 「とせっ、や、だぁ……!」 「おいら、千歳がまっことに嫌ならやめるよ」  手を離す。  このままにしたら、千歳はどう反応するかな?  ちょっと間を置いて「さわってくれないと嫌……」と聞こえた。  けど、触ってやんない。いつもならうんと甘やかすんだけど、今日は意地悪したくなった。  千歳をれろれろになるまで甘やかして、ひとときだけでも、おいらのことだけを考えるようにすることはできる。夢夏のことも、あきの姐さんのことも、店のことも、全部ひとときだけ忘れさせられる。  おいらだけを頼ってほしい、なんて思っちゃいけないし、おいらだけを愛してほしい、なんてもってのほかだ。  ……おいら、どうして、こんなに、好きになっちまったんだろ。 「千歳。おいら、千歳がしてほしいことするよ。だから、言って」 「……触って」 「どこを? 言ってくれないと、おいら、わかんないよ。千歳がどこを触ってほしいのか、教えて」 「どこでもいいから、触って」  千歳は照れ屋だ。こっ恥ずかしくて言えないんだと思う。  おいらは千歳の胸を揉む。あえて乳首は触らないようにやわやわ揉みしだいてあげる。女の胸ほど形は変わらないけれど、千歳もけっこう胸がやわらかくて、揉みしだけるほどだ。  これだと物足りないのか、千歳はおいらの手を掴んだ。 「どうしたの?」 「ここも、触って……」 「あいわかった。触るね」  きゅっ、と、千歳の乳首を摘まむ。「ひっ」と喉の奥が鳴る音がした。  反応が普段よりも良いのは、目隠しのお陰なのかもしれない。こういう変わった曲も好きなのかな。おけいさんが縛られてる姿を見かけたこともあるし、千歳も縛られるのが好きかもしれない。  理非知らずとか首引き恋慕の手をすれば喜ぶかもしれない。男同士だと少し苦しいところがあるけれど、千歳の身体のやわらかさなら、できるかな……。  兵児帯ならあるから、これで縛れば跡もあまり残らないと思うし……。千歳の首巻を使えば本数も足りそうだ。 「千歳。理非知らずでしよっか」
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