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22
ぎゅっ、と手に力を込める。千歳は掠れた声で「うれしい」と言った。
嬉しいって言葉が出るの、おかしいんだ。ちゃんちゃらおかしい。更に手に力を込めると中もぎゅうっと締まってくる。
気絶させるのも勿体ないから、力を緩めて、唇をもう一度重ねる。
熱い舌が絡みついてくる。千歳は夢中になって口吸いをねだってくる。口吸いが好きなことは知ってるけど……、どうしてこんなに……?
「千歳。口吸い好き……?」
「すき……っ、あっ、アッ!」
「あ、ここが良いの? ぎゅうって締まったよ」
「いわない、でぇ……!」
涙声で話すから更に気が悪くなる。このままずっと繋がってたい。ずっとずっと一緒にいたい。
いっそこのまま千歳を殺しておいらも死ねば……なんて思ったけど、駄目だ。そんなことしたら……、あきの姐さんが可哀想だ。子どもだって、父無し子にするのは可哀想だ。
だけど……、こんなにも、おいらに溺れたままで、良いのかとも思う。
こうやって繋がってる時に考えるなんて、おいららしくないや。
「とせっ、もっと……、大腰にして……!」
「激しく抱かれたいって助平だよね」
「っ!」
「そんな顔しないで。いっぱい気持ち良くしてあげるから」
主張している乳の頂を摘まみあげれば「アッ」と甘い声が零れ落ちる。いつまでもきれいな桜色の乳首だ。おけいさんも同じ色してるんだったっけ……。
大腰で奥を突きあげる。いつもよりもぎゅうぎゅうに締め付けてきてて、気持ち良い。おいらもすぐに気をやっちゃいそう。
だけど、千歳をいっぱい気持ち良くしてあげないと。
そういう約束だから。
「やっ、やらっ! おく、おく、やらっ!」
「嫌じゃないでしょ。ほら、気持ち良いって、千歳のお腹は言ってるよ」
「あっ、あっ! いっ! でちゃ、う! イッ、く、あ、ああああっ!」
千歳は背筋をピンと反らして気をやった。精汁が出てないから、すっごく気持ち良くなったってことだと思う。だけど、出しておこうかな。
おいらは手にぬめり薬を塗りつけて、千歳のまらを掴んで撫で回す。
「とせっ! まっ、まってぇ! ぃま、イッ、あ、あっ、イッ!」
「千歳は潮噴くの上手だね」
「あ、あ……」
おいらは千歳の身体に散った潮を舐めてあげる。ちょっとしょっぱいかな。縛ったままの脚が震えてる。舐められるのも好きなんだよね。
何度も締め付けられて、おいらもそろそろ限界だ。
おいらは千歳の目隠しを外して、手を結んでいた紐も、足の紐も解いた。青い瞳が涙に濡れていて、胸が震える。
「とせ……」
「ん? どうかした?」
「……あ、その……」
首を絞めたからか喘ぎ過ぎたからか千歳の声は掠れてて、そこがまた色っぽい。
千歳はおいらの首に腕を回して、耳元で囁いた。
「後取りでして……」
「そっか。後ろからいっぱい突かれるの好きだもんね」
「ち、ちが、わない、ですけど……」
「うん。後取りでしよっか」
顔が朱鷺色に染まってて愛らしい。これでおいらよりもうんと背が高くてうんと力がある男って思えない。
おいらは一度引き抜く。千歳は小さく「あっ」と言ってから、おいらに背を向けた。震えてるの可愛い。
「入れるね」
「い、言わなくて良いですからっ、あっ!」
「でも、急に入れたら千歳驚いちゃうでしょ?」
「んっ! アッ! んっ! んあ、あ!」
「声、我慢しなくて良いからね」
後取りにすると千歳はいつも敷布を噛んで声を殺そうとしちゃう。おいらは千歳の声が好きだからいっぱい聞きたいのに。
おいらは千歳の肩を掴んで、もっと奥に押し込む。中で襞のようなものに触れたような気がするけど、もっと奥に、もっと深く繋がりたい。
こぷんっと急に引っかかりが抜けたような感覚がした後、千歳が今までに聞いたことのないような声を出して、おいらを締め付けるから、そのまま気をやっちゃった。
「ちょっ、ちっ……しめ、すぎぃ……!」
「あー……あ、……」
「千歳」
千歳の力が抜けてとろけ切った顔を見るの、何回目かな。
おいらはまらを引き抜いて、千歳の半開きの口にあててみた。千歳は舌をちらちら出して、そのままぱくっと口に含んだ。
「っ、歯をたてないでね」
「んっ、ん……」
「そう、上手上手。……出すから、飲んで」
千歳の頭を掴んで、喉奥に突っ込んで、口の中に気をやった。
精汁を飲めば健やかになれるって、昔客に聞いたことがあるから飲ませたかった。千歳はすぐに「星になりたい」と言うから、これで、気の病も治れば良いなって……。
あと、飲ませるのって、すごく興奮する。
「けほっ、けほんっ」
「ごめんね。大丈夫?」
「だいじょーぶ……です……」
相変わらず涙目で愛しいや。でも、おいらが独り占めすることは許されない。千歳は、あきの姐さんをいっちに愛してるはずだから。あきの姐さんだって、いっちに千歳を愛してる。愛してるから、おいらが千歳を抱くことも抱かれることも、許してくれてる……。
おいらは、二人にとって邪魔な存在のはずなのに……。
「とせ」
「どうしたの?」
「…………まだ、たりない……」
「千歳って、まっこと腎張だよねえ」
「っ! だ、って……、薬、飲んで……」
「薬? もしかして、惚れ薬飲んでったの? そこまで準備して行ったの?」
「っ!」
抱かれたくない相手に抱かれるために、そこまで準備したんだ。おいらのために、そこまで……。
だとしたら、千歳の熱はまだまだ治まらないと思う。今だって、おいらのまらを指先で弄ってるぐらいだ。そんな可愛いことされたら、おいらだって、まだまだしたりない!
「ねえ千歳。可愛くおねだりしてみて」
「な、何言ってんですか……!?」
「してくれないと、おいら、入れてあげなーい」
意地悪したらどうするかな?
千歳は体を起こして、脚を開いた。女郎のねえさんがたがよくやるやつだ。菊座に指を添えて、自分で広げてる。おいらがさっき出した精汁が出てくる。
「ここに、いれて……。いっぱい、出して……ください……」
「千歳ってさ……、おけいさんの息子なだけあるね……」
「はい?」
「そんな誘い方されたら断れないよ」
吉原一可憐な女郎と呼ばれた女の息子なら、これだけ婀娜っぽくても頷ける。
おいらは千歳の肩を押して、乗り上げた。
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