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 港屋へ向かって歩みを進める。千歳あにぃは車を引いているけど、おいらは横を歩いているだけだ。荷を下ろす時に手伝うためにいるから横にいるだけでも良いっちゃ良いんだけど……、それもなんだかなぁ。  あにぃは真っ直ぐに前を見ているので、おいらのほうを見ていない。 「千歳あにぃって横顔もすごく綺麗だね」 「急に何言いだすんですか」 「おいらよりもずぅっと綺麗だし、まさしく美丈夫って、あにぃのような男を言うんだろうなぁって思ってさ」 「はぁ……? ありがとうございます?」 「ねぇ、あにぃはおいらのことどう思ってる?」 「どうと言うと?」 「見た目! おいらの顔、どう?」 「…………十瀬は、二枚目だと思いますよ。花のようだと思います」 「あはは、それっておいらが盛りの花だから言ってる?」 「そういう意味ではなかったんですが、すみません」 「謝らなくて良いよ。おいら、自分の顔の良さには自信あるからさ」  自信がないと陰間なんてやってらんないというか、おいらはこの顔があったからこそ、命拾いできたんだ。両親の顔は知らないけど、そこにだけは感謝してやって良いね。おいらを捨てたことにはおかんむりになるけど。  港屋の暖簾を押して入る。女将さんが出てきた。 「いらっしゃい! って、あんたかい。配達かい?」 「そっ! お届け物だよ。あとさ、部屋空いてる?」 「あいあい。あんたの部屋なら空いてるさ。千歳坊と乳繰り合うつもりかい?」 「ち、違います! 私は荷を届けに来ただけですから!」 「えー、おけいさんが遊んでおいでって言ったのに?」  おいらは千歳あにぃにぴったりくっついて、尻を軽く撫でてあげる。そうしたら、あにぃはビリリッと跳ねた。涙に潤んだ瞳が綺麗だ。まっこと美しい。  女将さんの笑い声を背中で聞いた。 「荷物ならうちの若い衆に運ばせるから、あんたらは部屋にあがりな」 「だってさ! 行こ!」 「ちょっ、ちょっと……!」  あにぃの手を引いて、部屋へ向かう。  港屋には、おいらが世話になってた時に使っていた部屋がそのまんまになってる。女将さんの厚意ってもんだ。  部屋に入って、戸を閉じて、布団を敷く。顔を赤くしたまま動かなくなった千歳あにぃの手を引いて、布団に座らせる。 「あにぃ、したくないの?」 「した、く……ないわけでは……ないんですが…………」 「それなら、何で嫌がるの? あきの姐さんだって千歳あにぃがおいらに抱かれるの許してくれてるでしょ? 今お腹おっきいんだし、なおさら」 「十瀬は、嫌じゃないんですか?」 「何が? おいらは千歳あにぃとやるの好きだよ?」 「…………」  千歳あにぃは頭が良いから、考え過ぎちゃうところがあるんだ。  小焼様が言ってた。「千歳は思慮深くて物分かりが良くて世話焼きな性分があるから、すぐに流されてしまう」って。  おいらには学が無いし、難しいことはわからない。だから、千歳あにぃが何を考えてるかわかんない。  もしかして、もうすぐ父親になるから抱かれたくないってことなら……。 「あにぃ、おいらを抱いて」 「何言って……」 「菊田様に体を穢されたんだ。千歳あにぃが清めてよ」  とん、と胸を押せば、ぱたりと倒せる。あにぃのほうが背も高くて力もあるけど、いとも簡単に。これは、おいらが陰間として教え込まれた技の一つだ。 「十瀬待って」 「待たない。ねえ、おいら、早く欲しいんだ。あにぃの、中に入れたくて、うずうずしてる」 「っ、んっ」  耳元で囁いて、耳穴に舌を挿して舐める。ビクッと跳ねる体が愛おしい。こういうところは、他の男と一緒だ。千歳あにぃもやっぱり男だ。  着物の合わせを開いて、尖った胸の頂に舌を這わせる。おいらよりも立派な胸だから揉むこともできる。 「あっ、十瀬……! まっ、って……!」 「何を待つの? 焦らして欲しいってこと?」 「ちがっ、あ! ヒッ! あ、あンンンッ!」 「声我慢しなくて大丈夫だから、いっぱい感じて。ねっ?」  あにぃの腰が浮いて揺れてる。褌を外せば、既に屹立したまらが先走り液で照って見えた。 「いっぱい濡れちゃってるね。ねえ、あにぃ。おいらに入れるか、おいらに入れられるか、どっちにする? おいらはどっちでも良いよ」  菊座に指を這わせたら更に腰が跳ねた。そのまま指を挿したらぎゅっと締め付けてきた。 「やっ、と、せぇ、アッ! あ、ああっ!」 「あにぃ、口吸いしよ?」  唇を重ねる。舌をすぱすぱ吸い合う。千歳あにぃは口吸いが好きだから、いっぱい唇を食んであげる。  おいらは自分で褌を外してから、あにぃの手を掴んで、自分の菊座に触れさせた。 「おいらも気持ち良くして? 女にやるようにすれば良いから。ねっ?」  千歳あにぃって、男に抱かれることはあるけど、抱くことはなかったはずだ。いや、一回ここで男を抱いたことあったっけ。おいらが手伝った時だったけど……。あれっきりしてないと思う。 「んっ、あ! そこ、きもちい、もっと触って」  恐る恐る差された指が、おいらの気持ち良いところを撫でる。自分でやることがあるから、気持ち良い場所がわかるのかな。 「痛くないですか?」 「ん。だいじょうぶ、きもちいよ、もっとして」  頭がふわふわしちゃうくらいに感じる。  そっか、好きな人に抱かれるってなったら、こんなに気持ち良いんだ。
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