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夜闇の中で閃いた短刀を別の刀が受けた。
「毒薬はやめたか」
「失策を繰り返すほど馬鹿ではありません」
「口移しで毒とはな。部下からも逃げおおせるとは大した狐だ。口を割る前に捕えねばと焦ったが」
娘の視線が険を帯びた。
「小娘が貴方の罪を訴えても権力で潰されるだけ——この手でしか仇は返せません」
「夜会を渡り歩いた私の読みも悪くないな。そういう娘だからこそ手に入れたいと」
髪を結う細帯が夜風に遊ばれる。踏み込んだ娘の動きは舞のように軽く、切っ先が月明かりを映して光を放った。
☆☆☆了☆☆☆
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