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「いらっしゃい、詠美ちゃん」
私を迎えてくれた里奈ちゃんのお母さんは、悲しげに微笑む。
部屋に通され、里奈ちゃんにお線香をあげると、気持ちがこみ上げてきた。
「里奈ちゃん、ごめんね。ごめんね。里奈ちゃんの辛さを分からなくて。傷つけるつもりじゃなかった。ずっと……楽しく一緒に……いたかっただけなの」
嗚咽でうまく話せない。
でも、里奈ちゃんに伝えたかった。
「私のせいで。私のせいで。……ごめんね、里奈ちゃん」
里奈ちゃんの仏前で頭を下げて泣く私を、里奈ちゃんのお母さんが抱きしめてくれた。
「詠美ちゃん、あなたのせいじゃないわ。あなたのせいじゃないの。そう思わないで。里奈は詠美ちゃんが大好きなの」
そう言うと、詠美ちゃんのお母さんは私に一通の手紙を渡す。
「授業ノートのお礼を里奈が書いていたの。詠美ちゃんに渡したいって。でも渡す機会を逃しちゃったのね。里奈の気持ち、受け取ってくれるかしら?」
しゃくり上げながら、私は里奈ちゃんからの手紙を開いた。
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