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というレキシの授業の担当であるイマガワがパソコン越しに淡々とした口調で伝えている。
イマガワは、大昔のセンゴクダイミョウ?という過去の歴史上の人物をモデルにした見た目のアバターだが、まあそのアバターの見た目が真っ白な肌にマロマユ?というらしい昔に流行った変な眉毛がおもしろくて、そのくせ口調がやけに淡々としているからギャップでついつい、いつも笑いをこらえるのに必死になってしまうから授業の内容に耳が入らないのだが、今回はイマガワの見た目よりも授業内容がおもしろくて食い入るようにみてしまった。
どうやら、100年前はいまとはちがってわざわざ家から学校や会社まで通っていて、しかもほぼ毎日決まった時間に決められていたようだ。
いまは、じぶんですべて決められるし、毎日通わなくてもいいから信じられないや。
さらに驚いたのは、子どもがたくさんいたことだ。
子どもがいたということは、直接的に性行為をしていたわけだ。
つまりは、お互いの姿かたち体温においを知っていたわけだ。
ボクからしたら、信じられないセカイだ。
直接会わずともそういう行為は、オンライン上でできるというのに。
オンライン上なら、うっかり妊娠してしまうこともさせてしまうこともなく気楽にできるし、なによりも子どもを持つ過程を持つという何のメリットもないハイリスクローリターンの賭け事に身を投じなくて済む。
まったく、100年前の人びとはどうしてわざわざ茨の道に自ら進んだのか理解に苦しむ。
だって、そうじゃないか。
もし、子どもがいじめでもしようものならネット上に拡散され事件としてニュースに取り上げられ家族全員一生世間から後ろ指を指され逃げまわることになる。
子どもがなにをするかわからないのに、わざわざ子どもを作るメリットがわからない。
そもそも子どもを育てても子どもはロクに感謝もしない下手したら刃向かわれるリスクもある。
じぶんを犠牲にしてまで得られるものがあまりにも少ない。
それじゃあ、子どもを作るメリットっていったいぜんたい何なんだろうか。
そのことにはじめに気づいた人は天才だ、だっておかしいじゃないか、よくよく考えたらほんとうにメリットがないじゃないか。
現にボクらは困っていないし、むしろ責任を負わずに自由に気楽に暮らせて楽なものだ、とあのときまではのんきにボクのアバターはあくびをしていた。
そう、あのときまでは。
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