2人が本棚に入れています
本棚に追加
心なしか声が少し震えている。
女はやはり動かない。
俺もそれ以上何も言わなかった。
そして恐れていたことが起こった。
対向車線を飛び出したトラックが、反対車線の乗用車に激突した。
前の二度の事故もひどかったが、この事故はそれ以上だった。
乗用車の方は確実に人が死んでいるだろう。
女が笑う。大きく耳障りな声で。
そして言った。
「今日はもうこれくらいでいいかな。運転手さん、いくら」
料金を払うと、女は降りて行った。
軽い足取りで、まるで狂ったように笑いながら。
終
最初のコメントを投稿しよう!