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「よ……う……。ん……」
小さな声で返事をするが、緊張して思うように声が出ていない。私の声が周囲の音にかき消され聴こえてないらしい。
悠太は下を向いたまま、伸ばされた手は震えている。
私は、深呼吸をして、もう一度大きな声で返事をした。
「よ……よろしくお願いします!」
「ありがとう!!」
悠太はそれをきくと同時に私を強く抱きしめた。
周りから沢山の拍手や声援で祝福される。
抱きしめられたまま、彼の背中の後ろに見えたのは、色んな色に輝くクリスマスツリーに飾られた天使だった。
悠太は安心すると、突然我に返りキョロキョロする。皆んなに注目されていた事が恥ずかしくなったようで、あたふたしながら私の腕を掴み引っ張って走る。
行く当てもわからないまま悠太についていき、クリスマスマーケットを逃げるように後にした。
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