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6:『傲慢』
この教会の構造はおかしい。
ただ最上階を目指すなら、階段を上り続ければ済むはずだが、どの階もいちいちフロアを挟んだ対角線上に次の階段がある。故に無駄な戦闘が増える。
雷の力を発現したせいで、カナも専ら主戦力だ。しかし、力は怒りを伴わないと発動しないため、カナは毎度、今までの腹が立った記憶を辿り、思い出し怒りしなければならない。連戦は精神的に疲弊する。
(まあでも、私らしい力だな)
元いた世界でのカナは、その怠け者っぷりでお姫様呼ばわりされていたが、同時に「眠れる破壊神」と恐れられてもいた。
キレると相手を完膚なきまでにやっつけてしまうため、決して怒らせてはいけないらしい。カナの小学生の頃の通信簿には毎年、「言葉は選びましょう」「机や椅子は投げないように」「登校拒否に追い込んではいけません」などと書かれていた。
(怒らせる方が悪いのに)
カナの一番の欠点は極端な省エネ主義、要するに怠惰だが、もう一つ上げるとすれば、とにかく傲慢なところだった。脳みその性能がよいと自負しているためか、常に自分が正義なのだ。
さらに悪いことに、力の発現によって今やカナの言葉がパーティーの絶対だった。ますます驕っていたのだろう。
だから、いよいよこの階段を上れば最上階という時に、判断を誤ってしまった。
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