誰がために鐘は鳴る

5：『暴食』

　カナのパーティーは大所帯だ。眼鏡モブの報告によれば、男九名、女六名の全部で十五名。

　何故こんなに多いんだろうと、カナは首を傾げる。勇者のパーティーと言えば四名と相場は決まっているのに。

　そもそも。どうして皆、教会(ここ)にいるのだろう。たまたま居合わせたのか、それとも悪魔退治のために集ったのか、全くの謎である。

　とはいえ、怠惰な勇者はその真実をわざわざ確かめたりはしない。十五人いるものはいるんだから仕方ないと受け入れる。

　しかし、人が多く集まればその分だけ、面倒事は増える。

　皆、腹が減っていた。恐らく丸一日、飲まず食わずで悪魔達と戦っている。そんな中、空腹に耐え兼ねた太っちょモブが、倒した子悪魔(ミニデーモン)の尻尾を見つけ、ボリボリと食らったのだ。

　そして、太っちょは悪魔の姿へと変わり果てた。

（あーあ。訳分からんもん食うから）

　元・太っちょはリクの剣に斬り刻まれ、僧侶のカイトによって丁重に弔われた。一名欠員。リーダーのカナは呆れながら、皆に『拾い食い禁止令』を出したのだった。