Mad Tea Party

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「本当、可愛くないですねえ。あと三回くらい私に皮肉が言えたら可愛く見えるかもしれません」 「やっとシャイルの良さがわかってきたねツイード。さて、じゃあ面白そうだしシャイルと、そっちの子と一騎打ちでもしてみようか」  突然のマルセルの提案に、ドラグは面白そうにひょいと肩をすくめた。 「なあんでお貴族様ってのは茶番が好きかねえ。いいじゃねえか、もう総当たりで」 「ここは僕らの流儀に合わせてよ。玄関ブチ破ってきたんだからそっちが客人だろ。女王陛下の御前なんだからさ」  女王は微笑むだけで何も言わない。しかし、叱りがないのなら了承ということだろう。  モルドーは怒りに顏を染めている。自分を完全無視して勝手に茶番が始まろうとしているからだ。腹心を殺されたというのにお咎めなしというのも納得できない。  が、女王の前では何も言えない。全てが終わったら必ず自分が処刑してやる、と怒りに震える。 「んじゃ、一回だけのってやるかな。ハーヴェスト」  ドラグの言葉にハーヴェストは剣を抜くと前に進む。シャイルもどこからともなくナイフを出した。 (暗器? どこに武器を仕込んでるのかわかりにくいな。貴族の服ってゴテゴテで鎧かよって思ってたけど。アイツの場合は文字通りの鎧みたいなもんか、武器をしまうための)  だが、あまりごちゃごちゃ仕込んでは動きにくい。パーティの夜見た時はかなり動きが速かった。重ければ動きづらくなる、おそらくもう一つか二つくらいしか武器はないはずだ。  ただし金持ちの持つ武器には詳しくない。自分の知らないとんでもない武器を持っているかもしれない。 (チビのくせに長剣か。俺の攻撃も一撃で弾いたし、たぶん力っていうより剣技が長けてるんだな。間合いを開けたら終わりだ)  シャイルも冷静にハーヴェストの見た目から戦い方を推測する。本来は相手を観察する前に急所を突く戦い方が得意だ。だが、一応ツイードから貴族としての決闘の戦い方も教わった。 (あの夜俺の戦いを見られてなきゃ決闘っぽく戦って、油断したところを突くこともできたんだが。こいつにフェイントや様子見は不要か。船で生きてるなら体力は向こうの方が上だ、長引けば俺が不利になる)  お互いを睨みつけるように見つめ、しばらく沈黙がおりる。そして、女王が広げていた扇をたたむ。ぱちん、と音がした。  一気に二人が動いた。
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