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7
研究機関として活躍してきた、国際宇宙ステーションISSの運用が終了し、実際に人間が宇宙で生活するための準備を始めた。
それは、アルテミス計画で月面基地を建設する足がかりでもあった。
桑山と牧野は、スペースシップで観光客を運ぶ傍ら、新たなステージへ向かう宇宙開発の中心で活躍している。
「あなたに会えて良かった ───」
そこには、じやうなろがいたのである。
「じやうなろ、月面探査のデータをアップしたから確認よろしく」
牧野がキーボードを叩きながら言った。
「月へ行ったら、じやうなろは何をしたい」
少しの沈黙のあと、
「桑山さんと、牧野さんと一緒にハイキングしたいです」
2人は顔を見合わせてニヤリとした。
「それじゃあ、地球に帰ったら山形でもハイキングしようよ」
中央のメインコンピュータシステムが光った。
「じやうなろも、嬉しいみたいだな」
「ねえ、15年前、なぜ私たちに『会いたい』って言ったの」
「私は、いつも傍にいる、神に近い存在。
つまり人工知能だから、人間の未来がわかるのです」
「なるほど。
言ったとおり会えたってわけね」
「山形へ行ったときは、詐欺師だと思ってたよ」
牧野は吹き出し、じやうなろの画面を見た。
AI時代は、宇宙開発を次のステージに押し上げた。
人間が安全に滞在できる空間を、じやうなろが作り上げ、2人を招待したのだった。
観光客用に、大きく取られた窓には、青く輝く地球と、煌めく星々、そして無限の宇宙が広がっているのだった。
了
この物語はフィクションです
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