カタズアホの書

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「世に数あれ」大神の言葉に、どろどろ、あるいはさらさらと、形を成さなかった神の水が集まり、1つ、2つと珠が生まれた。それは洗練された至上の形であり、永久不変のものである。動くことも、考えることも、感じることもなしにただ、そこにあった。 「美しきに心あれ」大神はまた、言葉を唱える。いくつかの選ばれた珠に、感情が宿る。それを包むのは、もはや神の水だけではない。世界に満ちた幸せを感じ、喜びの中に揺蕩っていた。しかし、それがかたるのは、意味をなさない言葉だけ。  ヴォルヴォアエは言った。「命あれ。幸の中より、子を産み増やせ」  感情のある珠のいくつかに、命が宿った。思いのままに神の水を泳ぎ、感情をあらわす。 「上に天、下に地あれ。命あるもののため地に水を、地を照らすため天に灯火を」大神の言葉によって、世界に星が生まれ、この地が生まれた。世界に満ちていた神の水は、雨となって地に降りそそいだ。世界最初の雨である。これによって天は乾き、星たちはいっそう輝くようになった。
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