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「あはは、似合う似合う。せっかくだから、小侍になってみろよぉ、駿~」
大樹は、俺をからかった。
「いやいや、東京だとやりづらいなぁ。大樹、こっちで小侍になったことある?」
「そうだなぁ。駿、ちょっとやってみろよぉ。俺達、せっかくの特殊な能力を活用してないと思わん? 例えば、ライバル会社に忍び込んで、盗聴器をしこんでくるとか」
「大樹、お前、まさかそんなことを…」
「してない。冗談だってぇ」
「なーんだぁ」
「駿は小侍になって、やってみたいことは? ってどうせお前は舞ちゃんがらみだろーな」
当たってる。俺の想いはただ一つ。妻の舞のことだけ……
「舞ちゃんとずっと一緒にいたい~。例えばぁ、舞ちゃんのスカートのポケットの中に入って、ぬくぬくしたい~」
「げっ。ひくわぁ〜。またそれかぁ。どんだけ、舞ちゃんが好きなんだよぉ~」
「へへへ。羨ましいだろぉ」
大樹は呆れながらも、駿の願いを叶えてやるなんて言って、やれやれと盛り上げたんだ。
俺は意識を集中した。小侍になるために。久しぶりなので、なかなか大変だ。想いを強くして……
このように、昨夜のことが脳裏に浮かんできた。
はあぁ……、俺達は調子にのってしまったんだ。同郷の友と久しぶりに酒を飲み、悪ノリしてしまったのだ……
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