衝立の後ろ

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 気が狂れてた・・・あの日のいとさんはもう、気が狂れてた。いとさんの腕の中でうちは頬が釣り上がるのを我慢できひんかった。 赤子みたいに泣いてどうすることも出来ひんいとさん、こわいこわいて、縋ってくるいとさん。 ──あの火、うちがつけたんやで  驚いた。あのいとさんが。うちが守るさかい、安心せって抱きしめてやったら、頬を色づかせて。ああ、なんてかわええこと。 「ほんまに、かわええなあ。」 聞こえんくらいの声で、つぶやいた。 ──恋をしている、気づいたんはいつ頃やろか ずうっと昔、小さい頃から、大好きなうちのいとさん
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