20最終話

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 彼の声がしてわたしは起きあがった。まだ裸のままなことをすっかり忘れていたわたしは、慌てて上掛を引き上げた。  「なに?もう俺誘ってる?」  わたしはぶんぶん首を振る。  決してそんなつもりでは…  彼はキッチンでコーヒーを入れていて…  何しろ狭いのでキッチンからベッドまで丸見えなのだ。  わたしは急いで洗面所に駆け込む。新しい下着や服を身に着けるとキッチンに行った。     わたしは小さなコンパクトキッチンで尊さんが入れてくれたコーヒーを一緒に飲んだ。  尊さんはぼんやりとわたしを眺めている。顔はにやけていつものシャープな目はとても見られたものではない。  でもそんな彼もまた良かった。  「ほら、あの…尊さんもう帰らなきゃいけないんでしょう?」  「ああ、そうだな。でも陽奈子といたい」  「仕事は大丈夫なの?」  「ああ、何とか。大口の仕事も決まったし、それにもうすぐ手伝いが必要になると思う」  「それって、わたしじゃだめ?」  突然そんなことを言ったわたし…
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