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ところがそうではなかった。父は結婚の約束を田所ともう交わしていた。
でも、この時陽奈子はそんな事情は知らなかった。
お見合いはすぐにあった。
本日はお日柄もよく…
場所は結婚式場を提携している高級料亭だった。
わたしは朝早くから美容室に出向いて、淡いピンク色の振り袖を着て、髪はきれいに結い上げてられていた。
鏡の前で自分を見て、いつもより見違えるほどの自分の驚いた。
これがわたし?馬子にも衣裳とはよく言ったものだ。
普段の安い服ばかり着ている自分とは大違いだった。
父のみつると待ち合わせ場所に向かった。父は陽奈子を見て満足したようだ。終始嬉しそうな笑みを浮かべている。
料亭『笹の雫』に着くともうお見合い相手の田所親子が待っていた。
わたしは緊張しながら、案内された個室に入った。
「田所社長、お待たせしました」みつるがそう言って声をかける。
「いえ、こちらが早く来てしまって、もう雄一郎ときたら陽奈子さんに会えるのを楽しみにしていて…」
みつるに促されわたしも挨拶をした。
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