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 「どうも、熊谷陽奈子です。どうぞよろしくお願いします」  「やあ、陽奈子さん、見違えるね」田所社長が言う。  「父さん失礼だろう。ごめん陽奈子さん。すごくきれいだ。今日は来てくれてありがとう」雄一郎が言う。  田所雄一郎は、わたしより3歳年上で、四つ葉ローンの営業をしているらしい。いずれは後を継いで四つ葉ローンの社長になるらしいが…  彼の身長は175センチくらい、ちょっと痩せ気味のちょっと神経質そうなごく普通のサラリーマンに見えた。  それでも、意外と優しくて気が利いた。それに甘えん坊な感じがした。  わたしは、早くに母親を亡くし、義理の父のもとで育ったので、まじめだったし、金銭感覚もきっちりしている。そんなところは田所雄一郎ではなく父の健一郎に気に入られたようだった。  滞りなく食事が運ばれてきて、お見合いとはこんなものなのかというくらい和やかに食事が進んだ。  だが、食事が終わるとすぐに結納や結婚の話が始まり…  わたしの返事を待つなどという選択肢はなかった。すぐに結納の話が出て、そのまま結婚式の話となった。  父のみつるは嬉しそうに頬をゆるめている。
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