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 彼はその手を握りしめると自分の胸に引き寄せ、もう一方の手を背中にまわしてわたしを抱きしめてくる。  「ひなこ、俺を受け入れてくれてありがとう」  耳元でささやかれると、脳がキャラメルソースみたいにとろけそうだ。  わたしの言語機能は支障をきたして言葉がうまく出てこなくて、慌てて大きくうなずくと彼がキスしてきた。  「俺、もうひなこ離さないから」   わたしは甘ったるい幸福の中でぼんやりとしか考えれない。  脳は完全に言葉を失う。  それを補うように彼を見つめて微笑んで、また大きくうなずいた。  「ひなこさっきからうなずくばっかり…」  「だってたけるさん…胸がいっぱいで…」  わたしはそれだけ言うと、彼にしがみついた。  もう抑えられない。涙があふれてきた。  だって…信じられない。  これって…これって…まるで小説みたいな話じゃない。  わたしの理想通りの王子様はほんとに実在していて、今わたしの目の前にいるなんて…  おまけに超イケメンで、優しくて、料理も出来て…ets…  わたしはあまりに幸せ過ぎて恐くなる。  ほんとにこれが現実なのか?
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