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”もう、陽奈子はいつもとろいんだから”…って
わたしだって好きでこうしているわけではない。ただ…間が悪いって言うか、言いたいことのタイミングが合わないって言うか…引っ込み思案の性格で随分損をして来た。
この結婚だって、断るはずだったのに…
わたしは石畳の道で思いっきり脚を蹴り上げた。
その瞬間体がぐらっと傾き…わたしは思いっきり転んだ。
道路に頭をひどく打ちつけた。
記憶はそれが最後だった
わたしは薄っすらと瞼を開いた。
まぶしい光に思わずまた瞼を閉じる。
しばらくして、またゆっくりを目を開けた。
ここはどこだろう?
どうやらわたしは横になって寝ているらしい。
真上の白い天井、消毒の匂い、周りを見ようと首を横に向けた瞬間、ズキッと頭が痛んだ。
うう…痛い!
それでもゆっくり横を向いて周りを見る。
何の飾りもない真っ白い壁、そしてやっと自分の腕に細い管が繋がっていることに気づく。
ここって病院?
あっ!わたし……
一気に記憶がよみがえる。
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