63人が本棚に入れています
本棚に追加
/190ページ
なんとか結婚しなくていい方法はないかしら…
「えっと…あれ？わたし…どうしよう。えっ？…わたしよくわかりません」
「えっ？ちょっと待ってそれって？いや、やっぱり看護師を呼んで来るから、きっと大丈夫だ…」
そのイケメンは言葉を濁して慌てて病室を出て行く。
「ええ…」
わたしはまた静かに目を閉じた。
子供のころの記憶がフラッシュバックのように頭に次々浮かんだ。
あれはわたしがまだ7歳の頃だった。
わたしの父はわたしが6歳の頃借金を残して失踪した。母は一人でわたし育てるために、住み込みで天宮という家で家政婦として働き始めて…
確かあれは母が天宮家に来て3年半たったころ、天宮の奥様が亡くなって、半年が過ぎたころだった。
「陽奈子お前なんか大っ嫌いだ。お前の母親と今すぐこの家から出て行け！」
???に言われたその言葉は今もわたしの耳に響く。
わたしたちはそれから翌日には荷物をまとめると、逃げるように天宮家を出て行った。
母は父が失踪した後、父の作った借金の返済もあって、いつも暮らしは大変だった。
最初のコメントを投稿しよう！