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「ああ、そこの息子さん、雄一郎って言うんだが、彼がお前を見初めたらしい。いつだったかここに来た時、きっとお前がお茶でも入れて持って来たんじゃないかな?」
「でも、わたし顔もわかりませんけど…」
わたしは思い当たらず首を傾げた。
「ああ、でも縁って言うのは、わからないもんだろう?陽奈子のお母さんだって、うちに働きに来てなかったら知り合うこともなかったかもしれない。でも縁があってこうやって、まあ麻美は亡くなってしまったが、陽奈子とはあれから…なぁ…仲良くやって来たじゃないか」
父はこれは断るきじゃないだろう?とでも言いたげで…
「ええ、でもわたしまだ結婚なんて考えたこともないし…」
「そりゃそうだ。お前は仕事を一生懸命してるし、でも決まった彼氏もいないじゃないか。それに今すぐ結婚とはならない。もし婚約しても1年くらいはお付き合いをしてみてそれからゆっくりどうするか考えればいいんだから…取りあえず向こうの顔を立てて、お見合いしてくれないか?」
今までに父がこんな声色を使うときは決まっていい事ではなかった。
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