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わたしは何とか理由をつけて断る方法がないかと…
「それと、この不渡りが関係あるんですか?」
「良いことを聞いてくれたよ陽奈子。おおありなんだ。お見合いすれば四つ葉ローンが資金を援助してくれるんだ。お前が気に入らなければ、話を先延ばしにしていずれ断ることもできる。でも今はうちの会社を助けると思ってこのお見合いを受けてくれないか、頼む」
父は陽奈子の手を取って頭を下げた。
ふん!こんな時だけはうまいんだから…
かえでも事で苦情を言っても知らん顔だったし、母が病気になった時も見舞いにも来なかった。確かにわたしの面倒は最低限見てくれたが、それも世間体や、こんな時のためだったんだろう。
それに、父がこうと思ったらもう何を言っても聞いてはもらえない。
もし嫌なら、ここから逃げ出すしかない。でもどこに行く?仕事の給料の半分は大学の学費返済に消えている。今ここから出て一人で生活していくのはとてもじゃないけど無理だろう。
仕方がない。父の言うようにお見合いだけして、いずれ断ることにすれば…
わたしは簡単にそうできると思っていた。
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