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扉が開くのと同時に、あなたは、振り返りもせず飛び出した。駅の階段を駆け上り、ウミちゃんの住むアパートを目指す。途中のコンビニで経口補水液とゼリーを買って、今から行くから、と自動ドアをくぐりながらメッセージを打っている最中でそれに気づいた。
大きな瞳をさらに大きく見開いて、目の前に立っていたのはウミちゃんだった。
こんな寒い中外に出て平気なの? 聞きかけて、ウミちゃんの装いが整えられていることにあなたは気づく。髪先は鎖骨あたりで緩いウェーブを描き、瞼の上には細かなラメが散っている。
ウミちゃんは、あなたの腕に下げられたビニール袋に視線をやった。
「もしかして、それ届けに来てくれたの?」
ウミちゃんの問いには、微かに酒のにおいが混ざっていた。戸惑いつつも頷くあなたに、思いがけず鋭い視線が向けられる。
「病気なんて、嘘なのに」
「どういうこと?」
「そんなことより原口さんは? 一緒だったんじゃないの?」
「電車で別れて来たけど」
「なんで?」
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