第2話

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「……あのね、ミーナ。私、もう他者のお言葉に振り回されるのはやめるわ」  今回は、王妃殿下のお言葉に感情を揺さぶられてしまった。その結果、ラインヴァルトさまとすれ違ってしまった。  ……今度からは、しっかりと彼にお話を聞こう。彼は、私のことを蔑ろにしない。それが、よくわかった。 「さようでございますか。それがようございますよ」  ミーナが笑って、空になったティーカップに紅茶を注いでくれる。 (えぇ、そう。流されてばかりでは、ダメなのよね)  そう思ったとき、不意に胸の中になにかがつっかえたような気がした。 (……王妃殿下のあのお話は)  なんだろうか。今思い出せば、あれはまるで――私に不安を植え付けることが、目的のようにも聞こえる。  コルネリアさまとラインヴァルトさまの仲をにおわせて、私にラインヴァルトさまとの結婚をあきらめさせるように……という風にも、受け取れた。 「テレジアさま?」 「……いえ、なんでもないわ」  ゆるゆると首を横に振って、私はクッキーを口に入れる。 (どうせ、ただの勘違いよ。……行き違いが、あっただけだわ)  自分自身にそう言い聞かせて、私は咀嚼したクッキーを呑み込んだ。  喉が渇いていくような感覚は、クッキーの所為だったのか。はたまた――これから起こることへの、不安の表れだったのか。  それは、現状定かではなかった。
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