第3話

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 鈍い痛みが、背中を襲った。  しばらくして、耳に届くのは慌ただしい声と、甲高い悲鳴。 「テレジアさま!」  近くにいたメイドが私のほうに駆け寄ってきて、身体を起こしてくれる。  幸いにも頭は打っていないと思うので、そこまで心配するようなことはない……と、思う。 (足首は、痛いけれど……)  でも、抵抗するときに少し踏ん張った所為だろうか。足首に確かな痛みがある。  顔を上げれば、階段の上でコルネリアさまが口元を押さえ、震えていた。 (コルネリア、さま……)  彼女を見つめていると、遠くから「テレジア!」という声が聞こえてくる。  この声は、間違えるはずがない。ラインヴァルトさまのものだ。 「テレジア! 大丈夫か!?」  ラインヴァルトさまが、私の側に跪いてそう問いかけてこられる。  その目には、確かな不安の色が宿っている。だから、私はこくんと首を縦に振った。 「大したことではありません。……なので、大丈夫です」 「……大したことだろう」  彼が私の背中に手を添えて、そうおっしゃる。
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