第3話

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「コルネリア嬢、お前、なにをした」  地を這うような低い声で、ラインヴァルトさまが問いかける。いや、問いかけなんて優しいものじゃない。  これは一種の、尋問だろう。 「私は、なにもしておりませんわ。彼女が、勝手に落ちただけ、ですからっ……!」  ラインヴァルトさまから必死に視線を逸らして、コルネリアさまがそう言葉を紡ぐ。 「そ、そもそも、私が突き飛ばしたとして、なんの問題がありますの? だって、彼女は私と殿下の間を引き裂いたのですよ!?」  彼女が自らの身体を抱きしめて、そう言葉を発する。……ラインヴァルトさまのお顔は、怖くて私でも見れなかった。 「大体、私が殿下の妃になるはずでしたのに。……こんな、突然現れたような女に――」 「――コルネリア嬢。言い訳は、必要ない」  そのお声は、何処までも低い。怒りを隠しもせずに、ふんだんに散りばめたようなお声。  彼は、近くにいた従者に目配せを送る。 「この女を連行しろ。しばらくの間、自宅謹慎にしておけ」  そのままそう指示を出された彼を見て、私は咄嗟に「あ、あの!」と口を挟む。  お二人の視線が、私に集中する。 「その、コルネリアさまだけが悪いのでは、ありません、から……」  震える声で、言葉を紡いだ。ラインヴァルトさまが、怪訝そうな表情を浮かべられている。  彼の視線が、私を射貫く。心臓が、大きく音を鳴らした。
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