第3話

11/25
前へ
/181ページ
次へ
 コルネリアさまとの一件から、数日が経ち。私は平和な日々を過ごしていた。  ラインヴァルトさまともしっかりと向き合えるようになり、それ相応に楽しく過ごしている。  ……もちろん、彼の愛情表現にちょっと戸惑うことは、多い。  あとは、そうだ。私は、次期王太子妃としての教育を受けることが決まった。本格的なものは婚約してから……ということになってはいるのだけれど、準備段階のものということ。 (……私、本当にラインヴァルトさまと結婚するの?)  けど、私にはまだいまいち実感がわかない。だって私、彼の求婚を受け入れるなんて返事、していない気がするのだもの。 「これが、外堀から埋められているということなのかしら……?」  ぽつりとそう零して、王城の廊下を歩く。  手に持った数冊の本は、王城にある図書館から借りたものだった。  初めは気を紛らわせるために読んでいたのだけれど、今では進んで読んでいる。……案外、面白かったから。  主に読んでいるのは、国の地理や歴史をはじめとしたもの。あと、他国の文化とかそういうものが載ったものも読んでいる。  面白くて、夢中になって。結果的に本を読んで夜の時間を過ごすことも度々出てきた。……そのたびに、ミーナに怒られているのだけれど。 「そういえば、ラインヴァルトさまが新しい本が入ったと教えてくださったわね」  ふと、そんなことを思い出す。
/181ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1140人が本棚に入れています
本棚に追加