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「そちらの指輪はとても高価に見えます。そして、ゲオルグさまを『あの男』呼ばわり出来るお方ですと、王家のお方しか思いつきませんでしたから……」
小さな声でそう告げれば、ラインヴァルト殿下はぱちぱちと手をたたいてくださった。
多分、正解ということなのだろう。
「大正解。……俺、まだ表向きには留学中っていうことになってるし。……帰国したって知らせだしてないから、誰も気が付かなかったんだよ」
「……そういう、問題なのでしょうか?」
だって、いくらなんでも王太子殿下なのだ。そのお姿は、貴族ならば尚更頭の中に根付いているはずなのに……。
「言っておくけど、俺、何年留学してたと思うんだ? 顔立ちだって、成長して変わってるんだよ」
「……まぁ、そう、ですよね」
確かに、ラインヴァルト殿下が留学されたときは、まだ十代前半だったという。今の彼は二十歳なので、顔立ちが変わっていてもおかしくはない。
……納得、出来た。
「ま、そういうことだよ」
彼がぐいっとご自身のお顔を私に近づけてこられる。
……至近距離にある、端正すぎるお顔。心臓がバクバクとさらに大きく音を鳴らす。
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