第2話

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 目を覚ます。  ふかふかの寝台から起き上がって、大きく伸びをする。 「よく、眠れたけれど……」  小さくそう呟いて、私は室内を見渡した。  室内には豪華絢爛な家具が配置されている。私の実家じゃ、足元にも及ばないほどに煌びやかな空間。  それに若干引いてしまって、頬が引きつるのがわかった。 (結局、ラインヴァルト殿下に押されてしまったし……)  あの後、いつまで経っても躊躇い続ける私を、ラインヴァルト殿下はご自身の乗ってこられた馬車に押し込んだ。  そのまま馬車を走らせて、王城に連れてこられた。いわば、拉致みたいなものだと思ってしまう。  ……でも、本気で抵抗しなかった私も私。ラインヴァルト殿下だけを責めるわけには、いかない。  そして、今、私がいるのは王城の客間。他国の来賓の方々が使われるお部屋を、一日だけ貸していただくことになった。  これも、ラインヴァルト殿下の差し金。彼は、遠慮する私に「部屋の準備が整うまで、一日かかる」とおっしゃったのだ。  もちろん、そのときにやっぱり帰るという選択肢はあった。けど、臆病な私はその選択を取ることが出来なかった。  両親が怖い。……その気持ちは、いとも簡単にラインヴァルト殿下に見透かされていた……と、思う。  というわけで、私はすっかりラインヴァルト殿下に絆され、ここにいる……のだ。 「それにしても、本当……これから、どうしよう」  いつまでもラインヴァルト殿下に甘えるわけにはいかない。そもそも、ラインヴァルト殿下と私が結婚できるわけがない。  ……いつか、追い出されることを覚悟しなくちゃ。
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