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「親として、子供の努力を認めるのは必要です。なのに、貶すことしかされないなんて……」
「……それは、私が、努力をしても結果が付いてこないから……」
「いいえ、テレジアさまはとても立ち振る舞いが美しいです。知っておりますか? 立ち振る舞いは、人の心が出るのですよ」
意味がわからなくて、呆然とする。そんな私に気が付いてか、ミーナは笑った。愛らしくて、可愛らしい笑みで。
「人の心が透けて見える……と、言えばいいのでしょうか。心の醜いお人は、それ相応の立ち振る舞いしか出来ません」
「心が、透けて見える……」
「はい。対するテレジアさまは、心の清らかさが出ておりますよ。きっと、ラインヴァルト殿下もそういうところをお好きになられたのですよ」
もしも、そうだったら。どれだけ、いいのだろうか。
目を瞑って、ぐっと唇を結ぶ。もしも、ラインヴァルト殿下のお気持ちが本物ならば。……どれだけ、幸せなのだろうか。
(いいえ、こんなことを思っても仕方がないわ。……あのお方は、本気だとおっしゃっていたじゃない)
信じないなんて、不敬だ。それに、私自身が心のどこかであのお方に期待している。
……好きになってもいいんじゃないか。頭の片隅で、誰かが囁いた。
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