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(……でも、好きになってはいけない。私は、あのお方のお側にはいられない)
側室とか、そういう立場だったら問題はない。だけど、それじゃあ私の心が苦しい。
好きになった人の正妻になれないなんて、悲しすぎる。
(結局、私はどうすれば……)
頭の中がぐるぐると回って、思考回路もめちゃくちゃになって。
そう思って俯く私の肩を、ミーナがぽんっとたたいてくれる。
「出来ました。……では、行きましょうか」
「……行くって、何処に?」
彼女の言葉に、私は自然とそう問いかける。そうすれば、ミーナはにっこりと笑った。
「ラインヴァルト殿下の元に、ですよ」
「……え」
零れた私の声は、とても間抜けなものだった……と、思う。
それほどまでに、彼女の言葉は予想もしていなかったことだった。
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