第2話

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(ど、どうして、結婚することになってるの……?)  確かに、私はラインヴァルト殿下に求婚されている。だけど、私は承諾の返事をしていない。そんな覚えはない。  結婚とは双方の承諾が必要な……はず。政略結婚では、そこら辺は省かれるけれど。  でも、これは政略結婚じゃない……の、よね? 「ま、待って、私、ラインヴァルト殿下と結婚するなんて――」  ――言っていない。  最後まで言葉を口にする前に、ミーナが「出来ましたよ」と言って肩をぽんっとたたいてくれる。  なので、私は最後まで言葉を紡ぐことが出来なかった。 「さぁ、殿下の元に行きましょう!」 「ま、待って、話を聞いて……!」  ミーナは猪突猛進というべきなのか。そういう感じの性格でもあるらしかった。  私の背中をぐいぐいとお部屋の入口まで押していく。……無礼とか、不敬とか。そういうことは、言えなかった。  だって、これが彼女の仕事なんだって思ったら、言えるわけがない。 (こうなったら、私も覚悟を決めなくちゃ……!)  一度大きく息を吸って、吐く。その後、手を伸ばしてドアノブに手をかけた。
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