第2話

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 そして、ゆっくりと扉を開ける。目の前に広がるのは、きれいな廊下。きょろきょろと周囲を見渡して、部屋の外に出る。 (ら、ラインヴァルト殿下は、いらっしゃらないわね……)  というか、そもそも朝食を共に摂るとミーナは教えてくれたけれど、それは何処で摂るのだろうか?  そんな疑問を抱いてミーナのほうを振り返ろうとすると、すぐそばから肩をたたかれた。 「ひゃぁっ!」  驚いてそんな声が口から漏れる。恐る恐るそちらに視線を向ける。  そこには、輝かんばかりの美しい顔をされた、ラインヴァルト殿下がいらっしゃった。 「テレジア嬢は朝から可愛いな」  彼はそのきれいな顔に満面の笑みを浮かべて、私を見つめる。……心臓が、大きく音を鳴らす。  いたたまれない気持ちが強くて、視線を逸らす。そもそも、朝から可愛いってなんなのだろうか。  ……だったら、ラインヴァルト殿下は朝からかっこよすぎる。輝いている。そう思うけど、その言葉は口から出ない。 「か、からかわないで、くださいっ……!」  まず、私が朝から可愛いなんてことない。ミーナのおかげで人前に出ても恥にはならない程度になっているとは、思う。  だけど、堂々と「可愛いわ!」と言えることはない。私にそんなことを言える度胸は、ない。
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