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「なにを言っているんだ。……結婚すれば、毎日これを食べるんだぞ」
「……結婚」
その部分を繰り返して、なんだか無性に苦しくなる。……本当に私は、このお方と結婚するのだろうか?
私は、これっぽっちも承知していないというのに。
「明日からは別の部屋に用意させるから。……毎日、一緒に食べような」
「……う」
ラインヴァルト殿下が笑ってそうおっしゃるものだから。私は言葉に詰まってしまう。
だって、そうじゃないか。……あまりにも甘くて、愛おしそうな笑みだったんだもの。本当に私のことが好きなんじゃないかって、錯覚させてしまうほど。
(ダメ。勘違いしては、ダメよ……)
自分にそう言い聞かせていれば、ラインヴァルト殿下が「食べようか」とおっしゃる。
そのため、私は頷く。小さく食事の前の挨拶をして、とりあえずとばかりにサラダを口に入れてみた。
「……美味しい……!」
口から零れたのは、本当の気持ち。
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