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千切った野菜にかかっているドレッシングが、なんとも美味だ。野菜も新鮮なものを使っているからなのか、とってもみずみずしい。
次にスープを口に運んでみる。これは多分ポタージュとかそういう奴なんだと思う。仄かに甘くて、心が落ち着く味。
「気に入ってくれたか?」
ラインヴァルト殿下が、私にそう問いかけてこられる。私は彼のお言葉に何度も何度も首を縦に振る。
「とっても、美味しいです……!」
自然と笑みが零れて、そう告げる。すると、ラインヴァルト殿下が息を呑まれた。
……もしかして、見るに堪えない笑みだったのかもしれない。
「そ、その、申し訳ございません……!」
慌てて謝罪をする。そうすれば、彼は「どうして、謝る?」と口元を押さえながらおっしゃる。
「俺はテレジア嬢の笑みが可愛いと思っただけだぞ。……謝罪されるようなことなんて、されていない」
「……う」
ラインヴァルト殿下のお言葉はストレートだ。その所為で、心臓がバクバクと大きく音を鳴らすし、柄にもなく嬉しいって気持ちが湧き上がってくる。……本当に、勘違いしてしまいそうになる。
私は、彼に望まれているんだって。……けど、その期待はすぐにしぼむ。結局、私は彼に相応しくない。頭の中で、誰かがそう囁くから。
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