第1話

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 正直、予想外すぎて頭が付いていかない。  その所為でぼうっと彼の顔を見つめていれば、彼はもう一度「大丈夫か?」と問いかけてこられる。  彼の吊り上がった金色の目が優しく細められて、私を見つめる。……柄にもなくドキッと、した。 「え、えぇ、その……大丈夫、です」  視線を彷徨わせて、そう答える。そうすれば、彼はなんのためらいもなく私の手を取った。  そのきれいな指には、ルビーの指輪がはめられている。綺麗な銀の台座にはめられたルビーは、シャンデリアの光を浴びてきらきらと輝いていた。 「そうか。……足とか、くじいていないか?」 「は、はい……」  どうして、彼はこんなにも親切なんだろうか。そんな疑問を抱きつつも、私は差し出された手に自身の手を重ねて、立ち上がる。 「全く、久々に帰って来てみれば、いきなりこんなことに巻き込まれるなんてな……」  彼が小さくそう零したのがわかった。なので、私はなんだかいたたまれなくて身を縮める。 「その、申し訳、ございません……」  自然と私の口から謝罪の言葉が出た。
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