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正直、予想外すぎて頭が付いていかない。
その所為でぼうっと彼の顔を見つめていれば、彼はもう一度「大丈夫か?」と問いかけてこられる。
彼の吊り上がった金色の目が優しく細められて、私を見つめる。……柄にもなくドキッと、した。
「え、えぇ、その……大丈夫、です」
視線を彷徨わせて、そう答える。そうすれば、彼はなんのためらいもなく私の手を取った。
そのきれいな指には、ルビーの指輪がはめられている。綺麗な銀の台座にはめられたルビーは、シャンデリアの光を浴びてきらきらと輝いていた。
「そうか。……足とか、くじいていないか?」
「は、はい……」
どうして、彼はこんなにも親切なんだろうか。そんな疑問を抱きつつも、私は差し出された手に自身の手を重ねて、立ち上がる。
「全く、久々に帰って来てみれば、いきなりこんなことに巻き込まれるなんてな……」
彼が小さくそう零したのがわかった。なので、私はなんだかいたたまれなくて身を縮める。
「その、申し訳、ございません……」
自然と私の口から謝罪の言葉が出た。
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